今回は、前回の予告のとおり、第64図から▲5八金とする手について考察します。
第64図からの指し手③
▲5八金(第69図)△5四歩▲4八金△4二銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2九飛△4三銀(第70図)
△8一飛に対して▲5八金(第69図)と右玉らしく待機するのも有力です。後手としては、先手の動きに対応して駒をさばいていく感覚なので、ここは後手も△5四歩から駒組みするのが良いです。
▲2四同飛には本譜の△2三歩以外にも△2三金▲2九飛△2四歩(参考29図)と金冠にするのももちろん有力です。本譜はコンパクトな雁木に組み上げて不満のない出だしです。
第70図からの指し手
▲5七銀△3三桂▲8八角△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛(第71図)
後手はここから△3三桂〜△1二香〜△1一飛〜△1五歩がよくある打開策で、右玉側はこれをまともに食らっては悪くなります。そこで先手も動く必要がありますが、▲5七銀〜▲8八角が、Y氏の考えた構想です。玉ににらみを利かせて次の▲4五歩が厳しくなっています。初見で指されたときは△6二角と合わせましたが、▲2五桂以下少しずつ苦しくしてしまいました。参考↓
そこで、▲8八角には△8六歩が改良手。△7六飛(第71図)と横歩をかすめとるのが狙いです。
第71図からの指し手
▲6八金△6五桂▲6六銀△8六歩▲7七歩△8七歩成▲7六歩△8八と(結果23図)
飛車寄りに対して▲7七金と飛車を追っても△7五飛で飛車は取れない形(▲8六金は△7八飛成)なので、▲6八金とかわしておくくらいですが、△6五桂▲6六銀で角の危機を遮断させてから△8六歩で飛車を生還させにいきます。▲同歩△同飛では後手の狙い通りなので▲7七歩から飛車角交換に持ち込みますが、と金を作った結果23図は後手優勢です。次に△9九と〜△2四香が先手の歩切れを突いて強烈です。
次回は、局面を戻し、第9図から▲5五歩とする手について考察します。