今回は、前回の予告のとおり、第52図から▲4五歩とする変化について考察します。
第52図からの指し手②
▲4五歩(第59図)△同歩▲同桂△4四銀▲4六歩△5四銀▲7七桂△4三銀▲8七歩△7六飛▲8二角(第60図)
今回は4八金型での▲4五歩(第59図)がテーマです。△同歩▲同桂に5八金型のときは△5四銀として駒損の代わりに2一の桂馬を使う構想でしたが、4八金型は少し玉形がまとまっているので、ここは無理せず△4四銀と上がっておきます。△5四銀〜△4三銀と固めるのも戦いに備えた手で、ここまで固めれば安心して攻め合いができます。
▲8七歩にはもちろん△8二飛も有力ですが、今回は強く△7六飛と横歩を取ってみます。先手は当然▲8二角です。
第60図からの指し手
△1五歩▲同歩△6五歩▲5七銀△8五桂▲6八銀△1七歩▲同香△1六歩▲同香△1七歩(第61図)
後手は一回△1五歩の突き捨てを利かします。▲7三角成には△1六歩が先手の歩切れを突いて厳しいので▲同歩です。それから△6五歩〜△8五桂で桂をさばいておきます。7七を受ける▲6八銀には△1七歩〜△1六歩〜△1七歩(第61図)と垂らして先手の態度を伺うのが良い指し回しです。
第61図からの指し手
▲7九飛△1八歩成▲8五桂△1七と▲4九玉△1六と▲9一角成(第62図)
△1七歩に対する先手の処置は難しいです。▲1九飛には△7七桂成▲同銀△同飛成▲同金△2六桂▲4九玉△1八歩成(参考24図)で後手勝勢ですし、▲2八玉には△3五歩と戦線拡大し、▲1七玉に△1三桂(参考25図)が△2五桂▲同飛△3九角を狙った好手となり、これも後手が指せそう。
ということで▲7九飛で歩成を受け入れる代わりに▲8五桂と桂を外すのが正しい対応です。後手は△1七と▲4九玉(△2七角の防ぎ)△1六とで香車を回収しておきます。先手も▲9一角成と補充して次へ。
第62図からの指し手
△7八飛成▲同飛△7五香▲7六歩△6九角▲7九飛△7八金▲6九飛△同金▲5八玉△8九飛▲7五歩△9九飛成(結果20図)
次に▲7七香と飛車を殺されると完封されてしまいます。なので△7八飛成と切り飛ばすのが最強の一手です。▲同飛に△7五香〜△6九角〜△7八金で飛車を取り返しにいきます。筋のいい捕まえ方ではないですが、飛車さえ取れば先手玉が薄いのでなんとかなるだろうという思想です。
△8九飛〜△9九飛成と攻め駒を補充した結果20図は、評価値上は互角です。後手は次に△6八金▲同玉△8八竜が狙いで、堅陣を頼りに細い攻めを繋ぎ切れるかがポイントです。
次回は、第52図から▲8七歩とする変化について考察します。