この記事はパート3の記事の続きとなっています。続きなので基本図などは前回までの記事の図を参照ください。
パート1
パート2
パート3
今回はフローチャートの枚目の変化(29手目▲2四飛〜41手目▲7四歩)を見ていきます。
分岐「29手目▲2四飛」
第42図からの指し手④
▲2四飛(第118図)△7四歩▲8五歩△7三銀▲8七金△6四銀▲8六金(第119図)
最頻出
4回目の最初は、第42図という懐かしい局面まで戻ったところから始めよう。これまでは▲4五桂、▲6五桂、▲4六歩を見てきたが、このパートでは▲2四飛(第118図)という大変化を見ていく。実は、これが実戦では一番よく指される変化になる。飛車を逃がす、一番自然な手だからであろう。重点先行主義に則ればこの変化を一番始めに紹介するべきだが、諸々の都合で最後になってしまった。
▲2四飛には△7四歩とする。△7五歩や△7三銀を見せて価値の高い一手である。対して▲2五飛という指し手も多いのだが、△8七歩▲9七角に△9四歩(参考42図)と角頭を攻める手で後手が十分戦える。
今回はソフトの最善である、▲8五歩△7三銀▲8七金△6四銀▲8六金(第119図)という金vs銀の攻防を見ていく。
分岐「38手目△7五同銀」
第119図からの指し手①
△7五歩▲同歩△同銀(第120図)▲同金△8七歩(第121図)
速攻策
後手は第119図から△5一金などと駒組みを進める手もあるが、組み合いになった際に横歩を取られた一歩損が響いてくる。
後手は△7五歩からすぐに仕掛ける順がある。▲同歩に後手に攻めの選択肢がある。まずは△同銀(第120図)から見ていく。驚きの手だが、続く△8七歩(第121図)が狙いである。
第121図からの指し手
▲4四飛△8八歩成▲2四飛△7九と(第122図)
一本道
△8七歩に▲9七角は△7七角成(参考43図)と馬を作られながら駒損を回復される展開で先手が悪くなるため、▲4四飛と角を取る手になる。こうなると△7九と(第122図)まではほぼ一本道になるだろう。
分岐「45手目▲6五桂」
第122図からの指し手①
▲6五桂(第123図)△3三角▲2九飛△9九角成▲7四歩△7一香(結果46図)
抑え込みvs馬
大さばきで激しくなったが、駒割りはほぼ互角である。後手の狙いは△3三角だから、先手は▲6五桂(第123図)と跳ねて両取りを回避しつつ後手陣にプレッシャーをかける。
後手はそれでも△3三角から香を拾うくらいの指し手になるが、▲7四歩とすると左辺は先手が抑え込めて後手の飛車が使いにくくなっている。
結果46図は形勢自体は互角である。後手は飛車の代わりに馬を働かせる展開に持ち込みたい。
分岐「45手目▲4六角」
第122図からの指し手②
▲4六角(第124図)△3三角▲2九飛(第125図)
別の変化
先手は▲6五桂と跳ねる以外にも▲4六角(第124図)と打つ手もある。後手は飛車を逃げる前に一回△3三角と打っておく。先手は、飛車の取り合いに応じると陣形差で後手有利になるため、飛車は逃しておく。
分岐「48手目△7二飛」
第125図からの指し手①
△7二飛(第126図)▲7三歩△8二飛▲6六銀△8六銀(第127図)
飛車をかわす
後手は相変わらず飛車取りが残っているが、この受け方に選択肢がある。まずは△7二飛(第126図)と、金に当てながらかわす手である。普通に▲7四歩と受けると△7七角成▲9一角成△6九と(参考43図)が筋の攻めで、これは後手のほうが早く迫れている。
そのため▲7三歩と先手で受けることになるが、この歩を打たせてから△8二飛と元に戻るのが後手の狙いである。今度は先手が△7七角成を受ける番で、▲6六銀としっかり受けておく。後手は攻めをつなげるため、△8六銀(第127図)と打つのが最善である。
第127図からの指し手
▲4五桂△6六角▲同歩△7五銀▲7二歩成△同飛▲8三角(結果47図)
二枚替えを誘う
第127図から普通に指すなら▲7六金だが、これには△7七銀成▲同銀△5四桂▲3五角△7五歩(参考44図)とされると厄介である。以下▲6六金で金桂交換で収めれば互角ではあるのだが。
▲7六金に代えて先手は▲4五桂と跳ねるほうが勝る。本譜のように△6六角〜△7五銀という二枚替えの筋があるため驚きの手だが、△7五銀に▲7二歩成〜▲8三角(結果47図)が好手順で先手良しである。次に▲7二角成△同金▲6一飛として桂を取る手がわかりやすい。また、先手玉は▲4八玉の一手で一気に安全になるのも大きい。
分岐「48手目△5五銀」
第125図からの指し手②
△5五銀(第128図)▲4五桂△4六銀▲3三桂不成△同桂▲4六歩△7八と(結果48図)
角に当てる
続いて、飛車取りに対する後手の応手として、△5五銀(第128図)と銀で角に当てて受ける変化を見ていく。角取りだからと▲3五角と逃げると、△6四銀▲同金△同歩(参考45図)で7七の桂取りの処置が難しく後手有利になる。以下▲6六銀には△7六歩がある。
先手は角取りには角取りで▲4五桂とするのが最善で、後手が角を逃げると▲3七角と先手にも逃げられて今度は5五の銀が不安定になる。そのため、後手は角の取り合いに応じる。
▲4六歩まではほぼ一本道の変化となるが、最後の△7八と(結果48図)の活用の味が良く、いい勝負である。以下、▲6五桂には△6八と(▲同玉は△8六角)とさらに活用するイメージである。
分岐「38手目△8七歩」
第119図からの指し手②
△7五歩▲同歩△8七歩(第129図)▲同金△7五銀(第130図)
別の攻め筋
これまでは第119図から△7五歩▲同歩△同銀と、銀を捨てる代償に角を攻める展開を見てきた。続いて、△7五歩▲同歩に△8七歩(第129図)と先に角頭にたたく手を見ていく。この変化は、▲同金に△7五銀(第130図)と銀の進出を目指すのが狙いである。ここで先手に選択肢がある。
分岐「41手目▲6八銀」
分岐「42手目△7六歩」
第130図からの指し手①
▲6八銀(第131図)△7六歩(第132図)
陣形整備
銀を進出した後手の次の狙いは△8六歩〜△7六銀からの7〜8筋方面の突破である。対して、先手は次のような対応が考えられる。①▲6八銀の陣形整備、②▲9七角の銀当て、③▲6五桂の跳躍、④▲7四歩の攻め合いである。
まずは①から見ていく。銀を上がって7七の地点を強化したため、すぐに攻め潰されることはなさそうだ。▲6八銀には後手にも指し手の選択肢がある。最初は△7六歩(第132図)と桂を攻める手から見ていこう。
第132図からの指し手
▲6五桂△8八角成▲同金△5五角▲4六角△同角▲同歩△5五角▲7八金△6四銀(結果49図)
いい勝負
桂取りのため、先手は桂を逃しておく。後手は角交換から△5五角と打つのが良い。代えて、△3三角と飛車金両取りを掛けたくなるが、▲5三桂不成△同銀▲4五桂△2四角▲5三桂不成(参考46図)という返し技があり、これは先手がやれる。先手陣が飛車の打ち込みに強いからだ。
△5五角には一回▲4六角と打って歩をゼロ手で進める。後手は再度角を設置するが、先手は▲7八金とかわしておく。
▲7八金に△9九角成は▲4五桂(参考47図)で先手の調子が良いため、△6四銀と銀を引いておく。結果49図はいい勝負だが、△6五銀や△9九角成などの楽しみが残っており、後手の指し手がわかりやすい。
分岐「42手目△8六歩」
第131図からの指し手②
△8六歩(第133図)▲9七金△5四歩▲2五飛△5五歩▲7六歩△同銀▲8六金(第134図)
金は僻地に
続いて、△8六歩(第133図)と金を僻地に追いやる変化を見ていく。▲9七金に△5四歩は本譜の進行のように、▲2五飛に△5五歩の受けを用意する手である。
先手はゆっくりしていると△9四歩〜△9五歩▲同歩△同香▲9六歩△同香▲同金△8七歩成の筋を食らってしまうため、▲7六歩△同銀▲8六金(第134図)で金の守りを復活させる。すると今度は後手の銀の行き場所がなくなっているため、当然ここから後手が動いていく。
第134図からの指し手
△3三桂▲2九飛△8七歩▲9七角△7七銀不成▲同銀△5六歩▲6六銀△7四桂▲7六金△8八歩成(第135図)
攻めをつなげる
銀を取られる前に後手は一回△3三桂と飛車を追ってから△8七歩と打つ。▲9七角と上がらせることで△7七銀不成に▲同角を消している。
▲7七同銀に△5六歩が味の良い突き出しである。この歩があるのも△5四歩〜△5五歩と受けたおかげだ。▲6六銀と受ける手には、△7四桂の両取りを掛ける。▲7六金に単に△6六桂▲同金△8五飛(参考48図)は8七の歩が邪魔駒になり攻めが重いため、先に△8八歩成(第135図)と成り捨てるのが手筋である。
分岐「61手目▲8八同角」
第135図からの指し手①
▲8八同角(第136図)△6六桂▲同角△同角▲同歩△5七歩成▲同玉△5六歩(結果50図)
攻め立てる
歩の成り捨てに先手が応じてきたら、後手は△6六桂と銀を取っておく。対して、▲同金は△8五飛で、これは歩の成り捨ての効果が出るので▲同角と取る。
以下6六の地点で精算してから△5七歩成〜△5六歩は筋の攻めで、結果50図は後手が攻めてはいるが攻め駒は少なく、形勢的にはバランスが取れている局面である。ただ、玉形に大きく差があるため、攻めがつながれば後手が勝ちやすいといえるだろう。
分岐「61手目▲3五銀」
第135図からの指し手②
▲3五銀(第137図)△6六桂▲同歩△7二飛▲7七歩△7六飛▲同歩△6六角(結果51図)
取る一手ではない
先ほどは△8八歩成の成り捨てを取ったが、この歩は必ずしも取る一手とは限らない。△8七とには▲4二角成と刺し違えれば良いためである。本譜は▲8八同角に代えて、▲3五銀(第137図)と角取りに銀を打つ変化である。
後手は銀を取ってから△7二飛と回るのが良い。対して普通に▲7五歩と金取りを受けると、△8七と、と活用されて、▲7九角に△7八銀(参考49図)と絡まれると厄介である。
そのため先手は▲7七歩と低姿勢で受けるが、構わず△7六飛と切り、▲同歩に△6六角と飛び出た結果51図は、迫力ある攻めではあるが形勢は意外にも互角である。しかし、結果49図と同様に玉形に差があるため、人間的には後手が攻めきれると思う。
分岐「61手目▲5六歩」
第135図からの指し手③
▲5六歩(第138図)△6六桂▲同金△9九と▲5五銀△7一角(結果52図)
穏やかな流れ
先手は、と金を取らずに▲5六歩(第138図)と玉頭の歩を払っておく手もある。△6六桂に▲同歩△8七と▲4二角成△同飛(参考50図)という変化もあり、こちらもいい勝負だが、本譜の▲6六同金も有力手である。
対して、後手は△9九とで香車を取っておく。先手は▲5五銀と手堅く投資して角をどかす。結果52図は戦闘の流れが一旦落ち着いた格好である。この後、先手は▲4五桂打で、後手は△8五飛や△9八と、のようにちまちま駒を活用する展開となりそうだ。
分岐「42手目△3三桂」
分岐「43手目▲3五歩」
第131図からの指し手③
△3三桂(第139図)▲3五歩(第140図)
桂跳ね
▲6八銀の自陣整備の対応として、△3三桂(第139図)と桂を跳ねる手もある。狙いが分かりづらいが、先手の▲2五飛や▲4五桂を消す、価値の高い手である。
桂跳ね自体は価値の高い手だが、桂頭がスカスカなため、思い切った手でもある。そのため、先手は弱点の桂頭を狙いに▲3五歩(第140図)と伸ばしてみる。
第140図からの指し手
△3六歩▲9七角△3七歩成▲同銀△7二飛▲3四歩△7六銀▲同金△同飛(結果53図)
不満なし
先手は桂頭を攻めたが、後手の弱点を攻めようとすると先手にも弱点が生じる。△3六歩と先に桂取りに打つ。対して▲2五桂と逃げると、△4五桂の跳ね違いで先手が困る。
先手は桂取りを放置して、▲9七角で△7六桂を消しつつ銀に当てる。△7二飛と受ける手に▲3四歩で先手も桂取りに突き出す。対して△4五桂と逃げる手もあるが、▲4六銀(参考51図)〜▲4五銀と桂を取った手がまた角取りになる。
本譜は▲3三歩成に△同銀が飛車に当たるように、わざと逃げない順である。△7六銀から銀をさばいた結果53図は、互角ながら後手不満なしである。
分岐「43手目▲7四歩」
第139図からの指し手②
▲7四歩(第141図)△7六歩▲6五桂△8八角成▲同金△8五飛(結果54図)
やはり不満なし
後手の右辺の桂を攻めると先手にもスキが生じた。そこで今度は▲7四歩(第141図)と左辺に垂らしてみる。狙いはもちろん▲7三歩成〜▲7四歩である。後手は構わず△7六歩と桂頭攻めをする。▲6五桂と逃げる手には△8八角成と角交換する。
最後に飛車を走った結果54図は、飛車がさばけて後手不満なしである。以下▲8七歩なら△5五角、▲8九歩なら△8六銀の味が良い。
分岐「43手目▲6五桂」
第139図からの指し手③
▲6五桂(第142図)△8八角成▲同金△6四銀▲6六歩△2三歩▲2九飛△8五飛▲8六歩△同飛▲7七銀△8四飛(結果55図)
いい勝負
続いて、▲6五桂(第142図)と桂を跳ねて角交換する順を見ていく。先手としては角がやや負担になっていたため、このタイミングで角をさばくのは有力である。
後手は△8八角成としてから△6四銀と引いて丁寧に受ける。△6四銀のところで△8五飛とするのは、前の変化で▲7四歩△7六歩の交換を入れた時に出てきた手だが、この場合は▲8六歩(参考52図)と打たれ、△同銀には▲7四角があるのが前との違いだ。△同飛には▲7七銀△8二飛▲8三歩△5二飛▲8二角で、これも先手が良くなる。
△6四銀の後自然に進んだ結果55図は、どちらも容易に負けない形でこれからの勝負といえる。以下▲8五歩△8二飛となって構想力勝負である。
分岐「41手目▲9七角」
分岐「42手目△8六歩」
第130図からの指し手②
▲9七角(第143図)△8六歩(第144図)
銀取り
局面を戻し、△7五銀と銀が出てきたところで▲9七角(第143図)と迎撃する手を見ていく。銀取りのため後手は、まず普通に△8六歩(第144図)と受けてみる。
第144図からの指し手
▲8八金△3三桂▲7八金△9四歩▲7六歩△同銀▲8六角(結果56図)
これからの将棋
銀取りに金取りで返された局面で、先手がさらに▲8六同金と取るのは△同銀▲同角△8七金(参考53図)で流石に先手が悪いため、冷静に▲8八金と引いておく。
ここまで形を決めてからは手が広く、正直何を指しても一局、という感じであるが、一例として△3三桂と桂を跳ねてみる。先手も▲7八金と自陣整備をするくらいだ。
△9四歩は角頭を狙っているが、▲7六歩〜▲8六角で先受けした結果56図はやはりこれからの将棋というよりない。
分岐「42手目△7六歩」
第143図からの指し手②
△7六歩(第145図)▲7五角△7七歩成▲4四飛△6七と▲同玉△4四歩▲6八玉△8五飛▲8六銀(結果57図)
均衡を保つ
▲9七角の銀取りに対して、△8六歩ではなく、△7六歩(第145図)と打つ手も有力である。先手はこの桂取りに対する受けはないため▲7五角△7七歩成▲4四飛と駒交換をしに来る。▲7五角に代えて▲4四飛△同歩▲7五角△8九飛▲8八銀打△7七歩成▲同金△8五飛(参考54図)という変化も有力で、これも華々しい展開になる。
本譜の▲4四飛には後手は一回△6七とで先手陣を乱してから△4四歩と手を戻しておく。先手は3段目に玉がいる状態ではまともに戦えないため、▲6八玉と安定させておく。
△8五飛▲8六銀と進んだ結果57図は激しくなったが均衡を保っている。以下△8二飛と落ち着かせるか、△7五飛とあくまでも激しく行くかという選択があり、どちらも有力である。
分岐「41手目▲6五桂」
第130図からの指し手③
▲6五桂(第146図)△6四銀(第146図)
跳躍
後手の銀が出てきたところで、▲6五桂(第146図)と跳ねる手もある。▲6五桂という手は、▲6八銀△3三桂の交換を入れた後に▲6五桂と跳ねる変化が以前出てきた。その時は△8八角成▲同金に△6四銀と引いたが、今回は▲8八同金のときに7九銀のひもがついている。そのため、後手は角交換をせずに単に△6四銀(第147図)と引くことで8七の金を浮き駒として狙う方針を取る。
分岐「43手目▲6六歩」
第147図からの指し手①
▲6六歩(第148図)△8五飛▲8六歩△8四飛▲6八銀△2三歩▲2九飛(結果58図)
穏やかな流れ
後手が銀を引いて桂取りに当てた局面で、先手は角交換をするかどうかの権利がある。まずは▲6六歩(第148図)と角交換を拒否しつつ桂を支える手から見ていく。
このように丁重に断られると後手としては激しい展開にしようがない。そのため、とりあえず△8五飛から浮き飛車に構えておく。
先手からも手を出すのは難しいため、▲6八銀の自陣整備は自然である。一回△2三歩▲2九飛で飛車を追い返した結果58図は穏やかな流れで一局である。後手はここから△5一金としてから△7六歩〜△7五銀の進出を目指したい。
分岐「43手目▲4四角」
第147図からの指し手②
▲4四角(第149図)△同歩▲6六歩△8五飛▲8六歩△8四飛▲7六歩△2三角▲5六角△5二金(結果59図)
やはり互角
今度は先手から角交換をしてみる。▲6六歩と支える手に△8五飛〜△8四飛は既出の手である。▲7六歩は△7五銀の進出を防いだ手である。
△2三角は後手からの揺さぶり。△8九角成の一点狙いだが、受け方によっては先手陣が乱れる。△2三角に代えて△5一金や△5二金のような自陣整備ももちろん有力である。
本譜は△2三角▲5六角の交換を入れてから△5二金の進行で、結果59図はやはり互角の形勢である。先手のバランスvs後手の堅さという戦いになる。
分岐「41手目▲7四歩」
第130図からの指し手④
▲7四歩(第150図)△8六歩▲9七金△7二飛▲7三歩成△同桂▲7四歩(第151図)
有力手
この分岐が今回の研究の最後の分岐となる。最後に、銀の進出に▲7四歩(第150図)と垂らしていく手を見ていく。この手もなかなかに有力だ。
後手は△8六歩で金を僻地に追いやってから△7二飛と寄って対応する。▲6五桂〜▲7三歩成や▲7三歩成〜▲7四歩を緩和するためである。
先手は△7四飛と形良く歩を払われないように▲7三歩成を入れる。△同飛は▲6五桂の調子が良いため△同桂だが、当然▲7四歩(第151図)と打ってくる。
第151図からの指し手
△7六銀▲8四歩△7一飛▲8三歩成△8七歩成(第152図)
決戦
後手は桂取りに構わず△7六銀と進出する。△8七歩成と△7七銀成が狙いだからと▲7八銀と受けると今度は△8五桂で逃げられる。かといって▲7三歩成は△同飛で飛車が使えるため、後手にとってはありがたい手だ。
先手は▲8四歩とじっと伸ばすのが最善手で、▲8三歩成〜▲7三歩成で飛車をいじめる魂胆である。対して△8五桂▲同桂△7四飛(△同銀は▲7三桂〜▲8三歩成)▲4四飛△同歩▲8三角△7一飛▲8六金(参考55図)という進行もあるが、先手がペースを握りやすい展開である。
後手としては△8七歩成から攻め合いに持ち込む方が良い。その前に一回△7一飛で早逃げをしておく。▲8三歩成〜▲8二とで飛車は捕まる格好だが、1段目で飛車を取られる方が良い、という判断である。
第152図からの指し手
▲8七同金△同銀成▲8二と△8八成銀▲同銀△5一金▲7一と△7六歩(結果60図)
実戦的には大変
△8七歩成(第152図)で先後ともにと金ができる激しい展開になった。▲同金△同銀成▲8二と△8八成銀まではほぼ一直線の変化である。ここで先手が▲7一と△7九成銀▲6一と、と更に踏み込んでくれば、△3九銀(参考56図)が習いある退路封鎖となり後手優勢になる。
そのため、先手は一回▲8八同銀と取っておく。後手の△5一金は飛車を明け渡す手だが金が玉に近づくため、堅さ重視の手である。
後手が△7六歩と攻め合った結果60図はやや先手よしである。しかし、それは先手が最善手を指した場合であ、その最善手が▲6二銀!(△同金なら▲7三歩成△同金▲6五桂)という妙手のため実戦で指すのはかなり難しく、実戦的には大変な勝負といって良いだろう。
以上でフローチャートの4枚目、及び研究した変化すべての解説を終わりにします。