対角換わり右玉の対策2

今回は、前回の予告のとおり、第3図から▲3八玉とする変化について考察します。

 

第3図

 

第3図からの指し手②

▲3八玉(第8図)△2二玉(第9図)▲6六銀(第10図)△8六歩▲同歩△同飛(第11図)

左:第8図 右:第9図
左:第10図 右:第11図

第3図から▲3八玉(第8図)と寄る手は、この局面で最も多く指される手になります。△8四角の筋の緩和や、▲4八金と更に固める手があり、自然な手です。

後手は△2二玉(第9図)とやはり入城しておきます。ここでも分岐がありますが、多いのは▲6六銀(第10図)でしょうか。プロではあまり見かけませんが、私はよく遭遇します。これには8筋の歩を交換しておいて先手の出方を見ることにします。

 

第11図からの指し手①

▲5五銀(第12図)△6五桂(第13図)▲6六歩(第14図)△5四歩(第15図)

左:第12図 右:第13図
左:第14図 右:第15図

▲6六銀〜▲5五銀(第12図)と銀を使っていくのが右玉で多く見られる構想で、次に▲7七角〜▲4四銀を見せています。この対策として、△6五桂(第13図)と跳ねる手があります。前述の▲7七角を消しながら将来5七に打ち込む手を見せた積極策です。

▲6六歩(第14図)ですぐに取られてしまいますが、後手にも△5四歩(第15図)と銀を殺す切り返しがあるため成立しています。

 

第15図からの指し手①

▲4四銀(第16図)△同銀▲6五歩△5五歩(第17図)

左:第16図 右:第17図

銀桂交換になるのが確定しているので、どうせなら陣形を見出しておいたほうがお得ということで先手は▲4四銀(第16図)〜▲6五歩とします。陣形を見出したことにより次に▲7七角が両取りになりますが、△5五歩(第17図)が好手。▲7七角を消しつつ、▲6四歩には△5四銀と逃げるスペースを用意しています。

 

第17図からの指し手①

▲5五同歩(第18図)△5七歩▲同金△9三角▲5八金△5七銀▲同金△同角成▲4八銀△7六飛▲7七歩△5六飛(結果3図)

左:第18図 右:結果3図(-623)

△5五歩に▲同歩(第18図)と取るのは悪手です。すかさず△5七歩と叩く手が厳しいためです。▲4八金と寄る手には△5八銀と剥がしておけば良いので取りますが、△9三角が好打。▲5八金にも△5七銀と絡んでいき、先手玉が見える形を目指します。

▲4八銀には馬を逃げずに△7六飛〜△5六飛(結果3図)とする強手があり、攻めが繋がります。▲同銀は△同馬、▲5七銀は△同飛成▲4八角△5六歩の要領です。多少駒損になっても攻めが繋がればなんとかなる、という後手側の理想の展開でした。

 

 

 

次回は、第17図から▲6四歩とする変化について考察します。

対角換わり右玉の対策1

今回は、前回の予告のとおり、第3図から▲5五歩とする手を考察します。

 

第3図

 

第3図からの指し手①

▲5五歩(第4図)△2二玉▲6六銀△8六歩▲同歩△同飛▲7七桂△8一飛▲8七歩(第5図)

左:第4図 右:第5図

▲5五歩(第4図)はやや突っ張った印象の手で、後に▲5六角と設置する含みを持たせています。後手は対右玉においては△2二玉と入城しておくのが基本姿勢で、将来飛車を切ったときに▲8一飛や▲7一飛が王手〇〇取りになるのを防いでいます。

先手は「位を取ったら位の確保」の格言通り▲6六銀と支えに行くのが無難で、後手は銀を上がった瞬間に飛車先交換しに行きます。▲7七桂には△8一飛と最下段まで引くのが形です。

 

第5図からの指し手

△4二銀▲2四歩△同歩▲同飛△2三金▲2九飛△2四歩▲5六角△4三銀(第6図)

第6図

後手は△4二銀〜△4三銀〜△1二香〜△1一飛〜△1五歩とすれば打開できるので、そこに向けて駒組を進めていきます。△4二銀に▲2四歩から飛車先交換されますが、▲2四同飛のときに△2三金と金冠にするのが手厚い好形です。特に右玉戦では玉頭戦になることも多いので、上部に強い形というのは心強いです。

先手は▲5六角と設置して、▲5五歩からの一連の構想を実現させました。この角が働くかが勝負どころです。

 

第6図からの指し手

▲7五歩△6五桂▲同桂△同歩▲同角△5四歩▲同歩△同銀左(第7図)

左:参考2図 右:第7図

後手はやはり△3三桂〜△1二香〜△1一飛を狙っているので、ここは先手から動くところです。一例として▲7五歩の桂頭攻めを見ていきます。△同歩はもちろん▲7四歩なので△6五桂とぶつける一手。△6五同歩に▲同銀は△6四桂があるので▲同角の一手。

そこで△5四歩と突くのが好手で、5筋の歩を切るとともに、中央の金銀に活を入れる意味があります。△5四歩には無視して▲7四歩としたいですが、△6四銀(参考2図)がピッタリ。先手としては6三の銀が動いたときに▲7四角と出る余地を残しておきたいのです。例えば、本譜の△5四同銀左に代えて△同銀右なら▲7四角です。

 

第7図からの指し手

▲5五桂△6五銀▲同銀△5七歩▲同金△5三桂▲5六銀引△5四銀(結果2図)

左:参考3図 右:参考4図
左:結果2図(-62) 右:参考5図

先手は第7図で角を逃げてもどうせ取られてしまいますが、角を逃げずに▲5五桂と打つのが先手期待の返し技です。△6五銀の一手に▲同銀と取り返しておいて▲6三桂成が残ります。なお、△6五銀に▲6三桂成と斬り合うのは△6六銀▲5二成桂△5七歩▲5九金に△5五桂(参考3図)で、これは後手が勝てます。

▲6五同銀に△5七歩もギリギリの利かしで、▲6八金右には△3二角(参考4図)の妙角が生じます。▲6六歩には△5四銀、▲6三桂成には△6五角です。

▲5七同金には△5三桂と打ちます。ここで△3二角には▲6三桂成で、△6五角としても今度は5七に金がいるので先手陣は堅いです。△5三桂に▲6三桂成は△5七歩の効果で△6五桂が金当たりになるので▲5六銀引とかわします。

後手も△5四銀とかわした結果2図は評価値上は互角ですが、正確に対応できないと後手有利になります。結果2図以降は、▲2五歩△同歩▲2四歩△同金▲2六歩が最善で、後手は△5五銀▲同銀△6五桂(参考5図)で反撃する感じです。

 

次回は、第3図から▲3八玉とする変化から考察します。