後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究13

前回の記事は↓こちら↓

senjanharun.hatenablog.com

 

 

今回は、前回予告した通り、第52図から▲3三角成とする手から考察します。

 

再掲第52図

 

第52図からの指し手②

▲3三角成(第58図)△同桂(第59図)▲3四歩(第60図)△同飛▲8二角△7三歩▲9一角成△2八歩(結果21図)

左:第58図 右:第59図
左:第60図 右:結果21図(-756)

飛車回りに直接▲2五歩と打つ手の他に、▲3三角成(第58図)〜▲3四歩(第60図)という指し方もあります。これは、▲3四歩に△同飛と取ってもらうことで2筋から逸し、飛車成りを防ぐ意味合いです。なお、▲3三角成に△同銀もありますが、同様に▲3四歩△同飛(△同銀は▲4六角)となった際、3三の駒が桂の方が△4五桂と活用できる分反発力があります。

▲8二角と香取りを見せる手には、やはり△7三歩と閉じ込めておくのが良いでしょう。結果21図の△2八歩はシンプルながら厳しい攻めで、先手が後手の速度を上回るのは難しいです。

 

第59図からの指し手②

▲4六角(第61図)△3七歩▲同角△2八歩▲9一角成△2九歩成(結果22図)

左:第61図 右:結果22図(-304)

▲3四歩と飛車筋を逸しに行くのは上手くいきませんでした。この場合は▲4六角(第61図)と打つのが最善です。△7三歩と受けるようでは▲2七歩や▲2八歩と先手も受けられるので、ここは△3七歩〜△2八歩と攻め合いに出ます。△3七歩と打っておくのが大事なところで、単に△2八歩では▲3四歩△同飛に▲2八角で取り除かれます。△3七歩▲同角を入れておけば▲3四歩が飛車取りにならないので△2九歩成と攻め合って後手良しです。

よって△2八歩には▲9一角成ですが、△2九歩成(結果22図)とした局面がどうか。評価値上では後手良しですが、先手にも▲2七香や▲2五歩などの対抗手段がありいい勝負といえるでしょう。

 

第52図からの指し手③

▲7三歩(第62図)△同銀▲3三角成△同桂▲7四歩△8二銀▲4六角△7二金▲7七桂△2八歩(結果23図)

左:第62図 右:結果23図(-403)

参考22図

飛車回りに対して先手はもっと激しく、▲7三歩(第62図)と攻め合う手も考えられます。△同桂は▲7四歩が嫌味なので△同銀ですが、▲3三角成〜▲7四歩が先手期待の攻め。対して△同銀は▲3四歩〜▲5六角の筋があります。△8二銀は最善の逃げ場所ですが▲4六角が、△5五角や△2八飛成を受けつつ銀に狙いをつける味の良い手です。後手は△7二金と受けるくらいです。

そこで▲2七歩と受けに回るのは△6四角と合わせて角を消しに行くくらいで後手十分になるので、▲7七桂と跳ねて▲6五桂を見せます。ここまでの手順は先手の主張ばかり通していましたが、ここで△2八歩(結果23図)と打つのが後手の期待の攻めです。以下、先程は▲3四歩△同飛▲2八角という受けが利きましたが、この局面では△2七歩(参考22図)と打つのがぴったりになります。▲9一角成がないのが大きな違いで、▲同銀は△5四角、▲4六角は△2八角と打って攻めが続きます。

 

 

 

次回は、少し局面を戻し、△7五歩(第39図)に▲3七桂と跳ねる変化から考察します。