週刊はるん(4月第5週)

今週は、10切れの方が昇段したので、その昇段戦を振り返っていこうと思います。

 

対局振り返り

 

棋譜 https://shogiwars.heroz.jp/games/harungun-fulibishato-20230421_164710

 

初手からの指し手:▲76歩△34歩▲26歩△44歩▲48銀△42飛▲68玉△62玉▲78玉△72玉▲58金右△82玉▲56歩△94歩▲96歩△72銀▲57銀△52金左▲77角△45歩▲66歩△54歩▲88玉(第1図)

 

昇段戦

 

ここ最近は割と調子がよく、達成率90%前後を行ったり来たりしながらも昇段のチャンスが巡ってきました。自分は先手です。戦型は居飛車四間飛車になりました。自分は対振りがあまり得意ではないので振り飛車党相手には相振り飛車をぶつけるのが多かったですが、居飛車穴熊なら勝ちやすいだろうということで居飛車をやりました。穴熊をやりたいので△45歩には▲66歩と拒否します。

第1図

 

第1図からの指し手:△44角▲78金△22飛▲65歩△77角成▲同桂△42銀▲67金△24歩▲36歩△33桂▲37桂△53銀▲66角(第2図)

 

予定変更

 

△44角がお相手の意欲的な構想で意表を突かれました。実はこの方の得意戦法が向かい飛車でした。普通に戦うと波に呑まれそうだったので▲78金から▲65歩で穴熊を捨てました。相手に理想形を組まれる前に早めに動く狙いです。そして相振りでもありましたが▲66角(第2図)を設置して動きました。

第2図

 

第2図からの指し手:△23飛▲55歩△同歩▲同角△54歩▲66角△43金▲56銀△44銀(第3図)

 

細かい動き

 

角のラインをどう受けるかですが、①△43金、△42金は▲45桂、②△44角は▲同角△同銀▲31角、③△32飛は▲25歩なので④△23飛の1手。対して先手は1歩交換から銀を上がり、後手も金銀を上がって本格的な戦いに備えます。

第3図

 

第3図からの指し手:▲46歩△同歩▲45歩△53銀▲48飛△27角▲46飛△38角成▲44歩△42金▲43歩成△37馬▲53と△46馬▲42と(第4図)

 

先手優勢に

 

単に▲48飛は△27角が気になります。そこで▲46歩△同歩▲45歩△53銀を利かせてから▲48飛と回り、△27角に▲46飛を用意しました。途中の△27角が緩手で先手優勢になりました。代えて△39角▲46飛△66角成▲同金△57角▲32角(A図)となれば、激しいながらも後手がややよしだったようです。

A図

本譜の▲46飛からはほとんど変化の余地がなく一本道だと思います。先手は飛車打ちに強く、片美濃のそばに、と金ができたのが大きく、ここで優勢を意識しました。

第4図

 

第4図からの指し手:△84桂▲57銀打△19馬▲53と(第5図)

 

鉄壁

 

後手は△84桂と振り飛車おなじみの設置をしてきました。次に△76桂▲同金△56馬の筋があるので、▲57銀打と受けました。この1手の受けではないですが、この将棋は落とせない、という気持ちの入った1手ですね。銀を投入しても、と金攻めができるので攻めは切れません。

第5図

 

第5図からの指し手:△95歩▲同歩△97歩▲同香△96香▲同香△同桂▲98玉△92香▲52歩成△95香▲97歩△71金▲85桂(第6図)

 

困ったときは端

 

一見先手陣は金銀5枚に囲まれて寄り付かないようですが、△95歩と、薄い端に手を付けたのがうまい勝負手でした。端で手が通れば先手の金銀は逆に壁になってしまいます。とはいえ、後手の攻め駒は少なく、無理気味でしょうか。▲85桂(第6図)と逃げ道を作って安全にしました。

第6図

 

第6図からの指し手:△84歩▲96歩△同香▲88玉△83銀▲93歩△55歩▲同銀△93香▲同桂成△同桂(第7図)

 

受け流し

 

△84歩で桂を取りに来ましたが、先手も▲96歩〜▲88玉と端を受け流して大丈夫そうです。これで簡単に勝ち!となれば良かったのですが…

第7図

 

第7図からの指し手:▲86歩△85桂打▲同歩△同桂▲98歩△91飛▲87金△98香成▲78玉△97成香▲86金△96成香▲99香△98歩▲同香△97歩(第8図)

 

ヒヤリ

 

次に△85桂があるので▲86歩としましたが、それでも△85桂打としたのが強烈な追い込みでした。▲同歩△同桂で77の脱出路が塞がれてしまいました。詰めろなので▲98歩と受けましたがひどい手でした。△同香成▲同玉に△55馬(B図)とされていたら大逆転でした。▲同角は△96飛以下詰みです。

B図

▲98歩では▲75桂△94銀▲68銀上をソフトは推奨しますが、なかなか指しづらいです。その前になんとかすべきでしたかね。

 

本譜は▲98歩に△91飛だったので▲87金と78に逃げ道を用意しておいて再び先手勝勢になりました。油断は禁物です。

第8図

 

第8図からの指し手:▲97同香△同桂成▲92歩△同飛▲93歩△同飛▲85桂△91飛(第9図)

 

時間がない

 

第8図の時点で両者残り時間が1分を切っています。まとまった時間を使って考えられないので、▲92歩〜▲93歩などと先手を取りながら少しでも考える時間を稼ぎます。切れ負け将棋ならではの考え方です。

第9図

 

第9図からの指し手:▲93金△72玉▲83金△同玉▲75桂△82玉▲83銀△81玉▲73桂不成(投了図)まで123手で先手勝ち

 

昇段

 

▲93金は△同飛と取られると簡単には寄らず大変でしたが、△72玉と逃げたので、▲83金から詰み筋に入りました。

 

昇段戦は最後一瞬逆転していた局面もあり完璧な内容ではなかったですが、勝ったので良しとしましょう。

投了図

 

最後に評価値です。