後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究16(fin)

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今回は、前回予告した通り、第69図から▲3三角成とする変化から考察します。

 

 

再掲第69図

 

 

第69図からの指し手③

▲3三角成(第73図)△同桂▲8八銀△7三桂▲7七銀△6五桂▲6六銀△8八歩(結果28図)

左:第73図 右:結果28図(-420)

参考28図

先手が▲3三角成と角を替える順を見ていきます。少し早めに映りますが、自分の実戦でもやられた手なので記録しておきます。▲8八銀△7三桂に▲7七銀は自然ですが、すかさず△6五桂が成立します。

▲6六銀に△8八歩(結果28図)が手筋で、仮に▲同金なら、△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲7七歩に△5七桂成▲同玉△4五桂(参考28図)で潰れています。▲6八玉は△5七角、それ以外なら△6六飛▲同歩△7九角の要領です。

 

第69図からの指し手④

▲7七角(第74図)△7三桂▲6八銀△7五歩▲同歩△7七角成▲同銀△3三桂(結果29図)

左:第74図 右:結果29図(-175)

先手は▲7七角(第74図)と上がる手も考えられます。持久戦を目指すこの手法は、少し評価値を落としますが割と有力だと思います。

▲6八銀に△7五歩▲同歩を入れるかは難しいところで、もちろん単に△7七角成とするのも有力です。△7五歩を入れれば▲6六角の筋は消えますが、▲7四歩△同飛▲5六角のような筋が生まれているので一長一短です。

結果29図はまだ序盤の序盤ですが、手が広く手将棋になりそうです。ソフトの一例を挙げると、▲6六銀△4四角▲3六飛△2七歩や▲9六歩△6五桂▲6六銀△8六歩などがあります。

 

第37図からの指し手③

▲4六歩(第75図)△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲3三角成△同桂▲7七金△7五飛▲2八飛△2六歩(結果30図)

左:第75図 右:結果30図(-473)

いよいよ最後の変化です。△7四歩に▲4六歩(第75図)とこちらの歩を突いてくる人もいます。△8六歩▲同歩△同飛なら▲4五歩と突いておけば3筋の歩を突いていないので△5五角打や△4四角打の筋がありません。そこで、▲3八銀型への鉄板の仕掛け△7五歩▲同歩△8六歩を決行します。

△7六飛には▲3三角成〜▲7七金という実戦でやられた手を一例に見ていきます。▲3六歩と突いていたときは△3六飛とかすめ取る手を含みに△2五歩を入れておくのが得でしたが、今回は△2五歩▲2八飛△4六飛には▲5五角があるので、単に△7五飛と引くほうが勝ります。

次に△4四角があるので▲2八飛と引くのは自然ですが、△2六歩(結果30図)と垂らしておいて後手十分になります。▲同飛は△4四角、放置するのも△2五飛と回る手があるので主導権を握れそうです。

 

 

以上で後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究を終わりにします。

後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究15

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senjanharun.hatenablog.com

 

 

今回は、前回予告した通り、第37図から▲1六歩と突く変化から考察します。

 

再掲第37図

 

第37図からの指し手②

▲1六歩(第68図)△1四歩(第69図)▲1五歩(第70図)△7五歩▲1四歩△1五歩▲1三歩成△同香▲7五歩△2三銀(結果26図)

左:第68図 右:第69図
右:第70図 右:参考25図

結果26図(95)

少し局面を戻し、△7四歩に▲1六歩(第68図)と端歩を付き、△1四歩(第69図)に▲1五歩(第70図)といきなり仕掛ける順を見ていきます。これに△同歩と取ってしまうと▲1二歩△同香▲3三角成△同桂▲2一角(参考25図)の筋を食らってしまうのは▲3八金型と同じです。

▲3八金型の時は△2五歩▲同飛△1五歩を紹介しましたが、これとは別に△7五歩▲1四歩△1五歩という受け方もあります。飛車筋を通しているので対応しやすいです。

▲1三歩成では単に▲7五歩も有力で、△1四飛と回る展開になります。本譜は形良く歩を払われるのを嫌う順で、△2三銀と整えた結果26図は次に△1六歩を見せておいて後手も十分に戦えます。

 

第69図からの指し手②

▲3六歩(第71図)△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲3三角成△同桂▲6六角(第72図)

左:第71図 右:第72図

先手が端歩を突いてから▲3六歩(第71図)とする順を見ていきます。後手は△7五歩▲同歩△8六歩とおなじみの順です。先手が角を換えて▲6六角(第72図)も以前出てきました。端歩の違いはこのあたりで出てきます。

 

第72図からの指し手

△6六同飛▲同歩△2五歩▲2七飛△5五角▲4六歩△6六角▲8八銀△7六歩(結果27図)

左:参考26図 右:参考27図

結果27図(-523)

△6六同飛▲同歩までは同じですが、端歩を付き合っていない状態だと△9四角が好手でした。が、端歩を付き合っていると△9四角には▲4八玉(参考26図)と寄られると△1五角が消えているため厳しさが半減してしまいます。

そこで△9四角を打たずに、△2五歩▲2七飛を利かしてから△5五角と打つのが好手。平凡に▲3七桂と受けると今度こそ△9四角と打ち、▲4八玉に△4九角成▲同玉△2六金(参考27図)で決まっています。なお、△2五歩に▲2八飛は最終手△2六金に代えて△6六角くらいで後手良しです。

そのため▲4六歩と受けますが、今度は△6六角〜△7六歩(結果27図)と左辺に狙いをつけます。次に△4四角打〜△8八角成の狙いが厳しく残っており、後手有利です。

 

 

次回は、第69図から▲3三角成とする変化を考察します。