後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究14

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今回は、前回予告した通り、第39図から▲3七桂と跳ねる手から考察します。

 

再掲第39図

 

第39図からの指し手③

▲3七桂(第63図)△7六歩▲3五歩△3六歩▲同飛△2四飛▲2五歩△7四飛(第64図)

左:第63図 右:参考23図

第64図

今回のテーマは△7五歩に▲3七桂(第63図)と跳ね、△7六歩に時間差で▲3五歩と開ける指し方です。△7五歩▲3五歩△7六歩▲3七桂という順でも合流します。

対して7六の歩を守ろうと、単に△7四飛は▲3三角成△同桂▲5六角△5四飛▲3四歩が気になります。以下、△4四角▲3三歩成△2六角▲3二と△3六歩▲6六桂△8四飛▲7四桂(参考23図)と進むと先手優勢です。

そこで、△3六歩▲同飛△2四飛▲2五歩を利かしてから△7四飛(第64図)と受けるのが工夫です。これなら▲3三角成には△同銀と取れるので大丈夫です。

 

第64図からの指し手①

▲6六歩(第65図)△2三銀▲6八銀△7三桂▲6七銀△4四角▲4六歩△3四歩▲同歩△3五歩▲2六飛△3四銀▲4五歩△3三角(結果24図)

左:第65図 右:結果24図(-1)

先手が▲6六歩と突いて先手が持久戦の意思を示した場合、後手も無理に動くようなことはせず、駒組みに行くのが無難です。

このあたりは手将棋になりやすいですが、結果24図まで進めば後手に不満はありません。このあとは△8三銀から7六の歩を抑えに行くか、△1五角▲4六飛△3三角▲2六飛の千日手ルートもあります。

 

第64図からの指し手②

▲3四歩(第66図)△8八角成▲同銀△2八角▲8二角△1九角成▲9一角成△7五飛▲4六馬△4四香▲4五香△1八馬▲4四香△同歩▲2七香△1七馬▲2四歩(第67図)

左:第66図 右:参考24図

第67図

先手が持久戦とせずに、▲3四歩の催促で激しく戦う順を選ぶ可能性もあります。これには角を換えて△2八角▲8二角と打ち合い、香車を拾うところまでは自然です。そこで△7五飛と浮くのが洒落た手です。次に△3五香〜△3六歩が狙いです。

防ぐとしたら▲4六馬くらいですが、そこで△4四香と打つのがまた好手になります。単に△1八馬と引くと▲3五飛(参考24図)のぶつけが気になるため、△4四香▲4五香を打たせれば飛車の横利きが止まるという理屈です。なお、▲4五香ではなく▲3五飛には△同飛▲同馬△2八馬で次に△1八飛を狙いますが、4四香が設置してある分後手に攻めの迫力が出ます。

▲2七香は△2七歩の防ぎですが、後手は△1七馬とどんどん活用していきます。

 

第67図からの指し手

△2五歩▲1八歩△3五歩▲1七歩△3六歩▲同馬△3五香▲2五馬△3七香成▲同銀△2五飛▲同香△2九飛(結果25図)

結果25図(-380)

▲2四歩(第67図)は▲2七香と連動した手で、▲2三歩成から攻められれば先手が良くなります。△3五歩は▲2六飛で△同馬▲同香はやはり▲2三歩成が残ります。しかし、△2五歩と打つのが盤上この一手の好手。今度こそ△3五歩が狙いで、▲同桂は△3五香、▲同香は△3五歩でしびれます。先手は▲1八歩から飛車角交換に持ち込むよりありません。

▲3六同馬に△3五香と追撃を止めません。▲2五馬は次に▲3三歩成を見せた逃げ場所ですが、△3七香成〜△2五飛と馬を取っておけば大丈夫。結果25図は後手が飛車を先着し、次に△6九角や△2五飛成があるので後手が指しやすい形勢です。

 

 

次回は、少し局面を戻し、△7四歩(第37図)に▲1六歩と突く変化から考察します。

 

後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究13

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今回は、前回予告した通り、第52図から▲3三角成とする手から考察します。

 

再掲第52図

 

第52図からの指し手②

▲3三角成(第58図)△同桂(第59図)▲3四歩(第60図)△同飛▲8二角△7三歩▲9一角成△2八歩(結果21図)

左:第58図 右:第59図
左:第60図 右:結果21図(-756)

飛車回りに直接▲2五歩と打つ手の他に、▲3三角成(第58図)〜▲3四歩(第60図)という指し方もあります。これは、▲3四歩に△同飛と取ってもらうことで2筋から逸し、飛車成りを防ぐ意味合いです。なお、▲3三角成に△同銀もありますが、同様に▲3四歩△同飛(△同銀は▲4六角)となった際、3三の駒が桂の方が△4五桂と活用できる分反発力があります。

▲8二角と香取りを見せる手には、やはり△7三歩と閉じ込めておくのが良いでしょう。結果21図の△2八歩はシンプルながら厳しい攻めで、先手が後手の速度を上回るのは難しいです。

 

第59図からの指し手②

▲4六角(第61図)△3七歩▲同角△2八歩▲9一角成△2九歩成(結果22図)

左:第61図 右:結果22図(-304)

▲3四歩と飛車筋を逸しに行くのは上手くいきませんでした。この場合は▲4六角(第61図)と打つのが最善です。△7三歩と受けるようでは▲2七歩や▲2八歩と先手も受けられるので、ここは△3七歩〜△2八歩と攻め合いに出ます。△3七歩と打っておくのが大事なところで、単に△2八歩では▲3四歩△同飛に▲2八角で取り除かれます。△3七歩▲同角を入れておけば▲3四歩が飛車取りにならないので△2九歩成と攻め合って後手良しです。

よって△2八歩には▲9一角成ですが、△2九歩成(結果22図)とした局面がどうか。評価値上では後手良しですが、先手にも▲2七香や▲2五歩などの対抗手段がありいい勝負といえるでしょう。

 

第52図からの指し手③

▲7三歩(第62図)△同銀▲3三角成△同桂▲7四歩△8二銀▲4六角△7二金▲7七桂△2八歩(結果23図)

左:第62図 右:結果23図(-403)

参考22図

飛車回りに対して先手はもっと激しく、▲7三歩(第62図)と攻め合う手も考えられます。△同桂は▲7四歩が嫌味なので△同銀ですが、▲3三角成〜▲7四歩が先手期待の攻め。対して△同銀は▲3四歩〜▲5六角の筋があります。△8二銀は最善の逃げ場所ですが▲4六角が、△5五角や△2八飛成を受けつつ銀に狙いをつける味の良い手です。後手は△7二金と受けるくらいです。

そこで▲2七歩と受けに回るのは△6四角と合わせて角を消しに行くくらいで後手十分になるので、▲7七桂と跳ねて▲6五桂を見せます。ここまでの手順は先手の主張ばかり通していましたが、ここで△2八歩(結果23図)と打つのが後手の期待の攻めです。以下、先程は▲3四歩△同飛▲2八角という受けが利きましたが、この局面では△2七歩(参考22図)と打つのがぴったりになります。▲9一角成がないのが大きな違いで、▲同銀は△5四角、▲4六角は△2八角と打って攻めが続きます。

 

 

 

次回は、少し局面を戻し、△7五歩(第39図)に▲3七桂と跳ねる変化から考察します。