後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究15

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今回は、前回予告した通り、第37図から▲1六歩と突く変化から考察します。

 

再掲第37図

 

第37図からの指し手②

▲1六歩(第68図)△1四歩(第69図)▲1五歩(第70図)△7五歩▲1四歩△1五歩▲1三歩成△同香▲7五歩△2三銀(結果26図)

左:第68図 右:第69図
右:第70図 右:参考25図

結果26図(95)

少し局面を戻し、△7四歩に▲1六歩(第68図)と端歩を付き、△1四歩(第69図)に▲1五歩(第70図)といきなり仕掛ける順を見ていきます。これに△同歩と取ってしまうと▲1二歩△同香▲3三角成△同桂▲2一角(参考25図)の筋を食らってしまうのは▲3八金型と同じです。

▲3八金型の時は△2五歩▲同飛△1五歩を紹介しましたが、これとは別に△7五歩▲1四歩△1五歩という受け方もあります。飛車筋を通しているので対応しやすいです。

▲1三歩成では単に▲7五歩も有力で、△1四飛と回る展開になります。本譜は形良く歩を払われるのを嫌う順で、△2三銀と整えた結果26図は次に△1六歩を見せておいて後手も十分に戦えます。

 

第69図からの指し手②

▲3六歩(第71図)△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲3三角成△同桂▲6六角(第72図)

左:第71図 右:第72図

先手が端歩を突いてから▲3六歩(第71図)とする順を見ていきます。後手は△7五歩▲同歩△8六歩とおなじみの順です。先手が角を換えて▲6六角(第72図)も以前出てきました。端歩の違いはこのあたりで出てきます。

 

第72図からの指し手

△6六同飛▲同歩△2五歩▲2七飛△5五角▲4六歩△6六角▲8八銀△7六歩(結果27図)

左:参考26図 右:参考27図

結果27図(-523)

△6六同飛▲同歩までは同じですが、端歩を付き合っていない状態だと△9四角が好手でした。が、端歩を付き合っていると△9四角には▲4八玉(参考26図)と寄られると△1五角が消えているため厳しさが半減してしまいます。

そこで△9四角を打たずに、△2五歩▲2七飛を利かしてから△5五角と打つのが好手。平凡に▲3七桂と受けると今度こそ△9四角と打ち、▲4八玉に△4九角成▲同玉△2六金(参考27図)で決まっています。なお、△2五歩に▲2八飛は最終手△2六金に代えて△6六角くらいで後手良しです。

そのため▲4六歩と受けますが、今度は△6六角〜△7六歩(結果27図)と左辺に狙いをつけます。次に△4四角打〜△8八角成の狙いが厳しく残っており、後手有利です。

 

 

次回は、第69図から▲3三角成とする変化を考察します。

後手横歩取り(対▲3六飛型)の研究14

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今回は、前回予告した通り、第39図から▲3七桂と跳ねる手から考察します。

 

再掲第39図

 

第39図からの指し手③

▲3七桂(第63図)△7六歩▲3五歩△3六歩▲同飛△2四飛▲2五歩△7四飛(第64図)

左:第63図 右:参考23図

第64図

今回のテーマは△7五歩に▲3七桂(第63図)と跳ね、△7六歩に時間差で▲3五歩と開ける指し方です。△7五歩▲3五歩△7六歩▲3七桂という順でも合流します。

対して7六の歩を守ろうと、単に△7四飛は▲3三角成△同桂▲5六角△5四飛▲3四歩が気になります。以下、△4四角▲3三歩成△2六角▲3二と△3六歩▲6六桂△8四飛▲7四桂(参考23図)と進むと先手優勢です。

そこで、△3六歩▲同飛△2四飛▲2五歩を利かしてから△7四飛(第64図)と受けるのが工夫です。これなら▲3三角成には△同銀と取れるので大丈夫です。

 

第64図からの指し手①

▲6六歩(第65図)△2三銀▲6八銀△7三桂▲6七銀△4四角▲4六歩△3四歩▲同歩△3五歩▲2六飛△3四銀▲4五歩△3三角(結果24図)

左:第65図 右:結果24図(-1)

先手が▲6六歩と突いて先手が持久戦の意思を示した場合、後手も無理に動くようなことはせず、駒組みに行くのが無難です。

このあたりは手将棋になりやすいですが、結果24図まで進めば後手に不満はありません。このあとは△8三銀から7六の歩を抑えに行くか、△1五角▲4六飛△3三角▲2六飛の千日手ルートもあります。

 

第64図からの指し手②

▲3四歩(第66図)△8八角成▲同銀△2八角▲8二角△1九角成▲9一角成△7五飛▲4六馬△4四香▲4五香△1八馬▲4四香△同歩▲2七香△1七馬▲2四歩(第67図)

左:第66図 右:参考24図

第67図

先手が持久戦とせずに、▲3四歩の催促で激しく戦う順を選ぶ可能性もあります。これには角を換えて△2八角▲8二角と打ち合い、香車を拾うところまでは自然です。そこで△7五飛と浮くのが洒落た手です。次に△3五香〜△3六歩が狙いです。

防ぐとしたら▲4六馬くらいですが、そこで△4四香と打つのがまた好手になります。単に△1八馬と引くと▲3五飛(参考24図)のぶつけが気になるため、△4四香▲4五香を打たせれば飛車の横利きが止まるという理屈です。なお、▲4五香ではなく▲3五飛には△同飛▲同馬△2八馬で次に△1八飛を狙いますが、4四香が設置してある分後手に攻めの迫力が出ます。

▲2七香は△2七歩の防ぎですが、後手は△1七馬とどんどん活用していきます。

 

第67図からの指し手

△2五歩▲1八歩△3五歩▲1七歩△3六歩▲同馬△3五香▲2五馬△3七香成▲同銀△2五飛▲同香△2九飛(結果25図)

結果25図(-380)

▲2四歩(第67図)は▲2七香と連動した手で、▲2三歩成から攻められれば先手が良くなります。△3五歩は▲2六飛で△同馬▲同香はやはり▲2三歩成が残ります。しかし、△2五歩と打つのが盤上この一手の好手。今度こそ△3五歩が狙いで、▲同桂は△3五香、▲同香は△3五歩でしびれます。先手は▲1八歩から飛車角交換に持ち込むよりありません。

▲3六同馬に△3五香と追撃を止めません。▲2五馬は次に▲3三歩成を見せた逃げ場所ですが、△3七香成〜△2五飛と馬を取っておけば大丈夫。結果25図は後手が飛車を先着し、次に△6九角や△2五飛成があるので後手が指しやすい形勢です。

 

 

次回は、少し局面を戻し、△7四歩(第37図)に▲1六歩と突く変化から考察します。